眼鏡ノ奥山のハンドメイドセルロイド眼鏡が出来るまでの工程を解説いたします。
1.素材 セルロイド生地
現代の合成樹脂素材の主流となる「アセテート」と比べ、素材自体が固く磨き上げる作業がとても難しいのですが、そのぶん耐久性があり、発色が良く透明感と光沢感に優れとても綺麗です。
レンズを入れるフロントは6mm厚、耳に掛けるテンプルは4mm厚を標準としております。
御希望に合わせて生地厚の変更も可能でございますので、ご相談ください。
2.生地取り、中心点の決定
大きなセルロイド生地から必要な寸法を切り出します。
合成樹脂の性質で、生地自体に反れや表面の肌荒れがあるので、この時点で生地の癖を見極めて歪みの補正や表面の粗研磨を実施します。
3.切削加工
補正したセルロイド生地を切削機に固定して、蝶番を置く溝、センターライン、眼鏡の形状を設計図のデータを基に削ります。
この工程は製造時間が量産品と比べ長時間を費やしますが、金型を基に眼鏡の形状を切り抜く製造方法ではできない、「お客様専用寸法」の眼鏡を切り出すことができます。
4.切り取り
眼鏡の形状を切削したセルロイド生地の余白を切り取ります。
切断後のバリ(余白)をヤスリで整え、歪みがある場合は再度加熱して形状を補正します。
テンプルも同様にバリ取りと補正をします。
5.レンズ溝彫り
レンズを嵌めるための溝をレンズ形状の内側に彫ります。
レンズの厚さによって溝の位置を変更して、レンズ側面が極力はみ出さない加工もします。
6.蝶番付け
眼鏡ノ奥山は「カシメ蝶番」を採用しております。
量産品の主流は蝶番の金属を加熱してアセテートに溶かしながら埋め込む「埋め込み蝶番」ですが、経年の生地の伸縮により動いてしまうことがあります。
カシメ蝶番は金属のピンを潰して固定するので、経年の生地伸縮による蝶番の動きにも、カシメ箇所の調整で修理が可能となります。
7.鼻パット取付け
鼻パットの形状の元となるブロックを「溶着」します。
お客様のお顔に合わせて鼻パットの左右距離と高さを決めます。
8.ブリッジ加工、カーブ加工
フロント全体を加熱して、カーブ加工とブリッジ加工を実施します。
お客様のレンズ度数や種類ごとにレンズのカーブが異なりますので、レンズカーブを考慮してカーブをつけます。
※度無しUVカットレンズで御注文のお客様は、屈折率1.60の1カーブでお造りしております。
9.組み上げ、テンプルの開き調整
フロントとテンプルが合わさる箇所(合口と呼びます)をヤスリで削り、お顔の幅まで広げます。
数ミリズレただけで装着感が悪くなるので慎重に調整していく、重要な工程になります。
10.全体のヤスリ掛け
カーブ加工時の熱加工の影響で、平坦にみえる部分も極々微細な歪みがあります。削りすぎても削らなすぎても駄目で、職人の腕が鳴る工程となります。
完成した眼鏡に光を当てると均等に輝く美しい表面が出来上がります。
角を落としたり丸みをつけたりするのもこの工程で決まります。
11.磨き(仕上げバフ研磨 1~3段階)
生地の硬さが異なるバフ(円盤状の布)と研磨剤を使い分け、粗磨きから仕上げ磨きまで3段階に分けて研磨します。
熱が上がりすぎるとセルロイドの表面が溶解して形状も崩れてしまうので、冷却しながら研磨します。
眼鏡制作時間の半分をこの研磨作業に費やします。
第一段階 粗研磨
第二段階 中間研磨
第三段階 仕上げ研磨
12.レンズ切削・研磨
フレームに合わせたサイズにレンズを切削し、顔に触れても安全なよう切断面を研磨します。
度無しUVカットレンズ、度付きレンズ全般、サングラス、PCレンズ、調光レンズ、偏光レンズと様々なレンズ加工が可能です。
13.完成
仕上がった眼鏡に傷はないか表面を拭き上げながら検品します。傷があった場合は再度研磨、歪みがある場合は加熱補正します。
最後に御注文通りの寸法になっているか計測して制作完了となります。
遠方や御希望のお客様へは頑丈に梱包して発送しております。